T.A.S.P.O

さて 前回(いつの話だ・・・)1951年大英帝国芸術文化博覧会の事
で終わりました。
この一大プロジェクトにSteel Bandを派遣することが決まり本格的な
準備に入るわけですが、当時のSteel Bandを取り巻く環境といえば、
乱闘絶えない暴力的な時代・・・
祭りと喧嘩は・・・と言うやつでしょうか、ともかく荒れていたことは
確かのようです。
そこで、Steel bandをより文化的なものへ転換するため、1948年頃に
TTSBA(The Trinidad & tobago Steel band Association)を立ち上げます。
ライバル・バンドという枠を越えたものが始めて出来上がるわけです。

当時Trinidad 警察音楽隊の中心的なメンバーであったJoseph Griffithを
中心に、主なSteel Bandのリーダーを集めてナショナル・チームを結成する
ことになります。
しかし、ここで難題にぶつかります。当時はまだPing-pongが主流で音域も狭く
西洋音楽を取り入れるためには、クロマチックに、そしてよりメロディック
サウンドの楽器が必要になると考え、4人のチューナーを集めて開発に取り組む
事になりました。
このときの中心的な役割は、エリー・マネットでALTO PAN ,TENOR BASS ,BASS
と次々試行錯誤しながら完成させていきます。
このとき初めて現在のSteel Bandの原型が出来上がったようです・・・

TRINIDAD ALL STARS PERCUSSION ORCHESTRA 結成

この新作の楽器を擁して、ナショナル・バンドが結成されます!!
当時の資料を見るとスタンドなんて物は無く、ひざの上に置いて叩くという奏法
一応パンに穴をあけ紐を通して首にかけてます(Pan around the neck)
Tenor bassは2/3のドラム缶2本、Bassはドラム缶フルサイズを4本という物
そうそう、ALTO PANはちゃんとPING-PONGより深いスカートになってます。

メンバー表です!!

PING-PONG

Ellie Mannette ,  Theo Stephens , Pasty Hynes , Andrew Bastied
Philmore Davidson , Winston"Spree"Simon , Granville Sealey

ALTO PAN

Sterling Betancourt ,  Belgrave Bonaparte

Tenor Bass

Dudley Smith , Tony Williams

Bass

Philmore Davidson

この1951年の博覧会は大成功におわり、単なる島の民族楽器で終わらない光るもの
を当時の聴衆は感じ取ったとありました。
今でもそうですが、あのルックスからメロウな響きがでるのは衝撃的であったに
違いありません、この頃はメッキもされていないものですから、今ほどきらびやか
ではない素朴な音でしょうが、楽器とはかけ離れたルックスからの綺麗な響きは、
驚きであったと想像に難くないところですね。

当時の演奏曲目
TOSSELLI'S SERENADE / JAMAICAN RHUMBA / MAMBO JUMBO
AFTER JOHNNY DRINK MIH RUM etc...
そして、God Save The Queen!! もありました、さすが大英帝国

1951年7月26日 London's South Bank Exhibition groundにて


帰国後 エリーマネットを中心にトニー・ウイリアムス等による
Steelpanの改良が進んでいくことになるのです。

続く・・・