オテロ・モリノー公開クリニック

pan lab curep村冶氏主宰により開催されたクリニック 運営に協力という事で後援をさせて頂いた。ことスティールパンの世界は採算面を重視すると立ち行かなくなるので、相互協力の下に普及活動をしていかなければならず、なかばボランティアであるが、パン業界の活性化につながれば幸いである。村冶さんも収支は危ういだろうに、情熱だけで乗り切った感があったね、お疲れ様。

内容は非常に高度なもので、来場者にどの程度伝わったか不安になるほど濃い内容であった。調律にまつわる事、歴史のこと、パンの前進時代にあった楽器についてなど予備知識がないと???だらけの講義内容ではなかったかな?とちょっと心配になりました。

掻い摘んで、書いておこうかな

彼のパンはNotesが独特な並び方をしている、いわゆる日本で主流の4th&5thではない。村冶さんは4th&5thはトリニでは主流ではないようなことを言ってたけど、かなり増えていることは確かで、レネゲイズでさえ、4th&5thを使うplayerがいるほどだけどな?? 話がそれた。
彼のパンは、シンキングが非常に深くアウターノートに音を多く詰め込んであるため、2列、3列目にスペースの余裕があり、高域が綺麗になるとの事 また、左右隣同士のnotesの干渉を受けにくいため倍音が制御され基音がはっきりするのが利点だという。
また、左右で幹音、派生音が分かれているのでクロマティック・スケールやペンタトニック・スケールが左右の手を上下方向の移動で弾けるため、4th&5thの円移動に比べ手順の自由度が高くスムーズとの事

僕が思うにその自由度を体感するためにはしっかりしたstick controlと手首の柔軟さを持っていることが前提になると思われ、Advanced Player向けの並びではないかと考えますな。

基音をはっきりさせたいという点では大いに共感できた。以前より倍音を強調して、きらきら派手な音の調律のパンをいいパンだと言う人が少なからずいて、疑問に思っていたから。
特に、オーケストラなんかでは何やってんだか分かんなくなるしね。響きを抑えた4th&5thのパンもあるからそれを選ぶのが現時点ではお勧めなんだろうな。

楽器の選び方の質問があって、この回答がまた細かい!きっと質問した彼女はそんな難しいこと聞いてないのに、レベルの高すぎる回答に戸惑ってましたね。
オテロの言い分では、演奏スタイルによりパンの選び方が変わるということ。また、どんな楽器がいいのかという画一的なものは存在しないという事 小編成でソロ中心なのか、バンドなのか云々また、響きの具合に関しても好みがある、自分で満足できる楽器が最終的にはいい楽器と仰る。

アドリブ等インプロビゼーションの質問に関して、Learnという言葉をしきりに使っていたので、後で聞いてみた。クリニックでは練習と通訳されていたんだけれど、それだけでアドリブが取れるはずも無く終了後に意図を聞いてみた。すると、技術的な面だけでなく音楽理論など知識面も同様に勉強していくことが前提との事 だから、Practiceという言葉を使わなかった訳だ、なるほど
つまり、理論的な面の知識を勉強した上での誠実な練習の積み重ねが、ホットなフレーズを産み出す素養になりPlayに反映されるという事だ、納得 通訳は難しい・・・

参加者の何気ない質問に対して、レベルの高い、やる気全開のお答え そこまで難しいこと聞いてないよなーと思いつつ、真摯に答える姿勢には脱帽でした。

村冶さんのリードもあり内容にやや偏りが見られたが、今までの知識の再確認も出来たし有意義だったな、タンブーバンブーを始めとしたパン周辺の歴史を知って欲しいと力説していたのが印象的だった。スティールパンという楽器が極めて個性的であるがゆえに、歴史など文化的政治的背景が無視されて語られていることに違和感を覚えるそうだ。音楽的にdeepな内容が頻出したため、適当な日本語が見当たらなかったりと通訳の方は苦労されていた。特殊な音楽用語や現地の言葉などが混在してましたからね。

あー、英語もっと勉強しよう。

最後に、村冶さん本当にお疲れ様、個人的にもいろんなことが聞けて楽しかった。またあれだけの人数を集めることが出来て良かったね、疎遠になっていたバンドの人たちが来てくれたのが嬉しかったって言ってたけど、これからも今回みたいに横のつながりをもてる業界でありたいですね。

おしまい