[Pan Story]New age Soca!

70年代から80年代にかけて、Socaはビートの利いたダンサブルな
スタイルに変遷していきます。USAのミュージックシーンの影響も
あるのでしょう、しかしながらこの頃はまだカリプソテイストの濃い
深いメッセージの物が多く見られました。
この頃、Kitchnerを始めとして、Mighty SparrowやDavid Rudderが
登場して大活躍した頃です。いわばTrad Socaでしょうか??


さて、振り返りましょう Socaの始まりはカリプソにインド系のリズム
が色濃く影響されている物でした、しかしこのあたりから同じSocaと呼ぶ
には余りにも違いが出てきてしまいます。そこでインド・テイスト溢れる
Socaのことを、Chutney(チャットニー) Socaと呼び区別するようになります。
Chutney・・これはインド風と言う意味ですが、直訳すると ’チャツネ’
ご存知でしょうか?カレーなどに使う調味料・・つまりインド風味って事
ですね


この時期を境に、Socaは劇的に進化していきます。ビートはより強烈に、
そしてPAの発達に合わせてか大音量化していきます。
ダンスミュージックの側面が強くなりだす頃、カリプソのレコードは次第に
売れなくなってきます。ここで、時代に乗ったというか流れに乗ったというか
微妙ですが、KitchnerやSparrowはSocaテイストの曲に乗り換え大人気に!

昔かたぎのカリプソニアンPretenderは、『俺には、何がいいかわかんないね』
と・・・彼はExtempoの時代からのカリプソニアンなので、まさに対極である。

しかし、時代の流れで いくら味わい深いカリプソを歌っていても、聴衆が
居なければ意味が無いというのも一理。芸術とはいえ時代の流れに乗るのが
まさに大衆文化としての真骨頂かもしれない。時として時代は極端な反応を
見せる物です・・・
しかし、このような生粋のカリプソニアンが居たからこそカリプソが芸術として
今日にいたっても、揺るぎの無いポジションをキープしているのではないだろうか

少々話がそれました・・・


この80年代以降から、ダンスミュージックに傾倒していくわけで、昨今多くの
人たちが踊れるSocaというのは、このあたりのSocaを指すわけです。
便宜上 New Age Socaと呼びましょう、以降デジタル音源ばしばし、リズム
マシーンピコピコを取り入れちゃうなど、何処まで行くのさーって感じで・・
いつのまにか、全く縁もゆかりもないような曲調に変遷していってしまいます。
でも、これも一時でこの数年で少しゆれ戻しがあり、最近のクラブシーンでも
聞かれるようなポピュラーなスタイルに落ち着いたようですね。

昨年のSoca等を聞いてると、ダンサブルな中でも、言葉でグルーブを出している
バランスの取れた曲もたくさんありました。

音楽もトリニダード&トバゴという国にかかると、様々なエッセンスが混合して
独自の空気を作ってしまうんですね
そもそも、こういったジャンルの曖昧なものをカテゴリー分けすること自体が
ナンセンスなのかもしれません。
個人的には、カリプソ・テイスト残る少々古いスタイルのSocaが好きですけどね

さあ、なんだかまとまらなくなって来ました。時系列を追って整理したつもりで
すが、いかがでしたでしょうか。 これでCalypso&Soca 編 終了です。
では、また

参考文献 "Bacchanal!" Peter Mason 著